夏の甲子園は大会第12日の20日、花咲徳栄が準々決勝第4試合で盛岡大付(岩手)を10-1で制し、県勢では24年ぶり、同校初の4強入りを果たした。二回に先頭・野村の本塁打で先制すると、五回に4点を追加、九回にダメ押しの3点で相手を大きく引き離した。投げては綱脇が盛岡大付の強力打線を8回1失点8奪三振に抑え込む好投。花咲徳栄は大会第13日の22日、第2試合(午後0時半開始予定)で、東海大菅生(西東京)と対戦し、県勢として1993年以来の決勝進出を目指す。
五回の花咲徳栄スタンドは、校歌を熱唱する歌声に包まれた。1点を加えてさらに2死満塁。高井が打席に立った。打球は中前へ飛び、2点適時打となる。続く小川も中前適時打を放ち、さらに1点を追加。打者9人を送る猛攻で4点を奪い、一気に主導権を握った。
四回までは緊迫した展開が続いた。二回表、先頭の主砲・野村が左翼に先制の本塁打。野村内野手の父真也さん(47)は太陽で打球の行方は見えなかったという。「周りがワーッと大騒ぎして、つられて喜んでいたら、柵越えと気がついた。うれしい」
二回裏にすぐに追いつかれた。三回には敵失で、四回には小川の二ゴロで1点ずつ追加。小川外野手の父章貴(としき)さん(44)は「つなげることが役目だから、ゴロという形でも点が入り良かった」と小川外野手そっくりの笑顔を見せた。
重苦しい空気を一掃したのが五回の攻撃だ。高井と大の仲良しという野球部員の由井海都(ゆいかいと)さん(3年)は埼玉大会以降、高井内野手の落ち込んだ姿をよく見かけたという。なかなか打撃で貢献できなかったからだ。「夏の甲子園では絶対打つという約束を果たしてくれた」と笑顔を見せる。吹奏楽部の養父(ようふ)愛莉さん(同)は2回の校歌演奏に「誇らしい気持ち」と喜ぶ。
九回にも追加点を挙げ、最後まで主導権を渡さない堂々の試合運びだった。バトン部の榎本安里さん(同)は「ベスト4にとどまらず、優勝を目指して頑張ってほしい」とさらなる高みに進むことを願った。
花咲徳栄・岩井隆監督「過去最高の投球」
先発の綱脇は変化球を混ぜ、攻める時は攻める今までで一番の投球だった。(初の4強は)一つ一つ積み上げてきた結果だと思う。次戦の東海大菅生は強力打線だが、粘り強く戦いたい。
花咲徳栄・千丸剛主将「全員で奪えた点」
下位打線が機能して流れができ、全員で得点できた試合だった。(昨年16強の)先輩の悔しさを晴らす気持ちが強かったので4強はうれしい。明日の練習は短時間だが、しっかり調整したい。