夏の甲子園大会

花咲徳栄、延長で東海大菅生破り決勝進出 県勢24年ぶり

 夏の甲子園は大会第13日の22日、花咲徳栄が準決勝第2試合で東海大菅生(西東京)と対戦した。延長十一回にもつれる接戦の末、花咲徳栄が9-6で劇的な勝利を収め、同校として初めて、県勢としても24年ぶりとなる夏の甲子園での決勝進出を果たした。試合は中盤まで両チームが得点するシーソーゲーム。八回に勝ち越しの2点を奪った花咲徳栄は九回に同点に追いつかれたものの、延長十一回に高井の2点適時二塁打などで突き放した。決勝は23日午後2時開始予定で、県勢初の優勝をかけ広陵(広島)と対戦する。

 延長十一回表、花咲徳栄のスタンドには感動の涙があふれた。八回に勝ち越し、勝利を確信した九回に同点に追いつかれていた。2死二、三塁。高井が打席に立ち、右越えの2点適時二塁打を放った。「やったー!」。スタンド中がメガホンをたたき、大喜びした。さらに1点を追加し3点をリード。その裏をエースの清水が3人で抑え、息詰まる接戦を制した。

 東海大菅生には5月の練習試合で大差で負けていた。だが、久原内野手は「あの時と今とは違う」と試合前に断言していた。その言葉通り、両者譲らぬシーソーゲームが続いた。

 4-4の同点で迎えた八回表、2死満塁の好機。打席に立ったのは2回戦以降、無安打の岩瀬だった。21日の練習では1人でトスバッティングに励む姿があった。「今までのミスを取り返すという強い気持ちだった」。左翼線を破る2点適時二塁打に、母有美さん(46)は打球の行方を見た瞬間、泣き崩れた。「今まで長かったね。やったね」。グラウンドの我が子に向かい涙声で呼びかけた。

 ほっとしたのもつかの間、九回裏に同点に追いつかれ、さらに2死三塁のサヨナラのピンチを迎える。勝利を信じるスタンドの表情が曇る。清水投手がストライクを取るたびに、歓声と拍手が湧く。3球で三振に打ち取り延長に突入すると、野球部員らは審判のセーフのポーズをまねて喜んだ。清水投手と投球練習をしてきた野球部員の小林樹さんは「一緒に厳しい練習をしてきた。清水ならやってくれると思っていた」。

 一進一退の攻防に終止符を打ったのが延長十一回表の猛攻だった。女子マネジャーらは涙を流しながら抱き合い、目に涙をためて踊るバトン部員もいた。試合終了後、スタンドは「勝ったよー」と大声援で選手らを迎えた。女子マネジャーの杉本亜優さんは「うれしいの一言です」と涙を浮かべながら言葉を絞り出した。

集中力かっこいい

 「勝つぞ!勝つぞ!」。花咲徳栄の応援団が陣取る一塁側スタンドでは、赤間昂大外野手が中学時代に所属していた兵庫県尼崎市の少年野球チーム「阪神ボーイズ」のメンバーら約30人が声援を送った。主将の渡壁幸祐さん(14)は「打撃はもちろんすごいけど、一つ一つのプレーに集中しているところがかっこいい」と目を輝かせていた。メンバーらは幼い頃から甲子園に憧れ、練習に励んでいるといい、「いつか自分たちも甲子園で野球がしたい」と話していた。

花咲徳栄・岩井隆監督「決勝戦は楽しんで」

 シーソーゲームを我慢して、粘り強くプレーしてくれた選手らに感謝している。(継投した)清水もボールを低めに集め、よく投げた。決勝は一つ一つのプレーを大事にして楽しんでやりたい。

花咲徳栄・千丸剛主将「練習の成果出せた」

 流れがどちらに行くか分からない場面で、集中力を切らさずプレーできた。自分たちを追い込んでやってきた練習の成果だと思う。決勝はいつも通り強い気持ちで相手にぶつかっていきたい。

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