夏の甲子園大会第4日の10日、県代表の花咲徳栄は初出場の大曲工(秋田)に6−1で快勝して2回戦に進出した。花咲徳栄は初回に先制すると、中盤以降も効果的に追加点を挙げた。大会屈指の左腕として注目される高橋昂也投手(3年)は、被安打10と苦しんだが11三振を奪い、1失点と粘りの投球を見せた。花咲徳栄は大会第9日(15日)の第2試合で樟南(鹿児島)と対戦する。
2点差で迎えた八回表無死一塁。西川愛也選手(2年)が打席に立つ。「無得点が続いていたので、何とか打ちたかった」という4番の痛烈な打球は、右翼線を破る適時三塁打になった。勝利を引き寄せる大きな1点に、アルプススタンドの応援団は肩を組んで校歌を熱唱。西川選手の母裕子さん(45)は「打線が行き詰まっていたので、流れを変えられて良かった」と笑顔。応援団長の田辺聖吾さん(3年)も「西川がよく点に絡んでくれている」と喜ぶ。その後も2点を追加し、粘る相手を振り切った。
待ちわびた初戦。初回2死二塁から西川選手が左中間に適時二塁打を放ち、幸先よく先制すると、応援団は青色のメガホンを振り回し、盛り上がる。四回表には高橋昂投手をリードする野本真康捕手(同)の適時三塁打で、3点目を挙げて引き離す。父祐一さん(52)は「後は高橋君が投げやすいようにリードしてほしい」。
だが初戦の緊張からか埼玉大会で無失点だった高橋昂投手は、序盤から走者を背負う苦しい投球で、四回には本塁打を浴びる。しかし学生コーチの清川旺投手(3年)は「心配ない。いつも通り粘り強く投げて」とエールを送る。六回の1死三塁のピンチも連続三振で切り抜けるなど、粘り強い投球が終盤の追加点を呼び込んだ。
九回裏1死一、二塁のピンチも併殺に打ち取り試合終了。高橋昂投手の父、敏樹さん(52)は「エースの責任を果たせた」と満足そう。スタンドの前であいさつする選手らに応援団からは「次も勝つぞ」と声援が飛んだ。