春の甲子園大会

夢の花咲け・徳栄(下)「自立」をテーマに 性格見極め組織作り


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授業も参考 学生コーチ指名

エース高橋昂也投手を指導する岩井隆監督(右)エース高橋昂也投手を指導する岩井隆監督(右)

 コーチから昇格した岩井隆・監督の下、2001年夏の甲子園、03年のセンバツと初出場を決めた花咲徳栄。だが、その後は決して順風ではなかった。03年春はベスト8入りしたが、その後7年間、甲子園の土を踏めなかった。10年春は2回戦まで進んだが、11年夏と13年春は初戦で敗退。岩井監督は、チーム強化を図るため「自立」をテーマに掲げた。「監督に言われたことをこなすだけでは勝てない。甲子園という場所は監督より怖い」

 「全力だぞ」「日本一とるぞ」。地下足袋を履いて砂の上を繰り返し走る。海がない埼玉だが、徳栄グラウンドには全長約50メートルの細長い「砂浜」がしつらえてある。選手らは日々の練習で、柔らかい砂の上を走って足腰を鍛える。選手たちは寒空の下、汗だくになって息を切らせても、大声を出し続ける。

 選手の列の先陣をきって声を上げるのは「学生コーチ」の富永洋選手(2年)と清川旺(おう)選手(同)。選手でありつつ、チーム全体を見渡して監督の指示が行き渡っているか気を配る役割で、富永選手が野手、清川選手が投手陣をコーチングする。「周囲に指示を出せる資質」を見込み、岩井監督が2人にコーチを委ねたのは年明けのことだ。

地下足袋を履き、「砂浜」を走る選手ら地下足袋を履き、「砂浜」を走る選手ら

 選手たちを自立させるにはどうすれば良いか。個々に「自分で考えろ」と言うだけではだめだ。岩井監督は「野球は集団スポーツ。チーム内で自立的に成長していける組織を作ろう」と考えた。授業や練習で選手の性格を見極め、役割を考えることを始めた。こうして昨夏の甲子園でベスト8に進んだチームを結成した頃、主将を支える選手兼学生コーチの指名を始めた。

 清川選手は「やるしかない。これからはチームで一番忙しい人でいよう」と覚悟を決め、1年生投手へのアドバイスも買って出ている。富永選手は、先輩コーチの河上翔選手(3年)から「だめなことを指摘できなければコーチの意味がない」とアドバイスされ、岩井監督からも「遠慮するな」と言われた。2人は「言いにくくても言おう。チームが強くなることが優先」と決めている。

 岩井監督は、選手ミーティングの報告も「練習で見せてくれればいい」とあえて聞かない。今回、センバツ出場が決まった翌日の1月30日、選手たちは岡崎大輔主将(2年)を中心に話し合った。「(各自が)自分の弱点をさらけ出して共有しよう」「厳しいことでも互いに言い合えないと勝てない」。自主的なミーティングは2時間に及んだ。

 岩井監督は「試合中、選手がダイヤモンドに散ったら、監督にできることは少ない。自分たちで戦えなければ勝てない」とチームに奮起を促している。徳栄の春は、もうすぐ本番だ。

(毎日新聞埼玉版)

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