第100回全国高校野球選手権記念大会第4日は8日、阪神甲子園球場で1回戦4試合が行われ、大会連覇を目指す花咲徳栄が鳴門(徳島)に8-5で逆転勝ちした。
花咲徳栄は2点を追う八回、1年生井上の2点適時二塁打で逆転に成功。エース野村は立ち上がりは制球に苦しんだが、三回以降は1失点に抑えた。花咲徳栄は大会第10日の14日、第3試合で横浜(南神奈川)と愛産大三河(東愛知)の勝者と対戦する。
破壊力が自慢の打線は、終盤になってようやく目覚めた。2点を追う八回、6番倉持の適時打で1点差に迫ると、井上が逆転の2点適時二塁打を放ち、流れを引き戻した。約1000人の大応援団が見守る一塁側アルプススタンドは一気に盛り上がった。
倉持の父聡司さん(50)は「序盤は打席で力んでいたように見えた。7日に『バッティングの調子がよい』と本人からスマートフォンにメッセージが来た。打ってくれてうれしい」と声を弾ませた。
アルプススタンドでは、3年生で野球部の加藤大輝さんが、顔を赤くしながら太鼓を強くたたいて選手らに声援を送った。「徳栄はいつも後半に粘りが出る。徳栄らしい野球を見せてくれるはず」と力を込めた。
九回も打線の勢いは止まらない。田谷野が二塁打で出塁すると、次打者の内野安打で三塁へ。続く3番韮沢の犠飛で1点を追加。マウンドを守り続けてきた4番野村が右中間に2点適時二塁打を放ち、試合を決めた。
試合中、応援極を演奏し続けたブラスバンドのリーダー中尾柚奈さんは「勝ってほしいと思い、ドキドキしながら演奏していた。2回戦も音楽で元気を届けたい」と顔をほころばせた。
野村の父真也さん(48)は「変化球が決まらず苦しんでいたが、仲間に助けられた。最後に勝てば十分。もう一度甲子園に応援に来られることになり、ありがとうと伝えたい」とねぎらった。熱戦を戦い抜いた選手らがアルプススタンド前に整列すると、観客から大きな拍手が送られた。