夏の甲子園大会第9日の15日、県代表の花咲徳栄は樟南(鹿児島)を6−3で破り、3回戦に進んだ。花咲徳栄は1点を先制されたものの、六回に楠本晃希選手(3年)の適時二塁打などで一挙4点を奪って逆転。七回にも2点を加え、樟南の追い上げを振り切った。主戦の左腕、高橋昂也(こうや)投手(3年)は11安打を浴びたが、要所を締めて完投した。花咲徳栄は大会第11日(17日)の第2試合で、作新学院(栃木)と対戦する。
花咲徳栄の勝機は、1点を追う六回に訪れた。それまで1安打に抑えられていた打線がつながり始めた。死球や犠打で作った2死一、三塁の好機。4番の西川愛也選手(2年)が相手投手を強襲する適時打を放ち、試合を振り出しに戻した。
続く楠本晃希選手(3年)の2点適時打で勝ち越しに成功。1回戦は好機で打てず、気持ちを切り替えて試合に臨んだ楠本選手は「同点に追いついてくれて気楽に打てた」と声を弾ませた。楠本選手の父武史さん(49)は「(二回に)エラーしてしまったので、これで少しでも取り返せたかな」と興奮気味に話した。スタンドでは野球部員や生徒らが肩を組んで校歌を熱唱。その後も追加点を奪った。
花咲徳栄は序盤から苦しい展開が続いた。先発の高橋昂也投手(3年)は三回まで毎回ランナーを得点圏に背負う我慢の投球。四回には2死から連打を浴び、先制を許した。
打線も五回まで、安打は西川選手が二回に打った1本にとどまっていた。六回に逆転後は、七回に西川選手の左前適時打などで2点を追加。この日は3安打2打点と、4番の役割をきっちり果たした西川選手に、祖父の島本征市さん(75)は「すごいね。つなぎの4番だけど、そろそろ甲子園でホームランが見たい」と期待を膨らませた。
九回には、高橋投手が連打を浴びるなどして2点を失ったが、最後の打者を遊ゴロに打ち取った。試合終了後、高橋投手は「『絶対に点を与えない』という強い気持ちでマウンドに立っていた。疲れが出ていないと言えばうそになるが、次も粘りたい」と語った。