第97回全国高校野球選手権(8月6日から15日間、甲子園)の埼玉大会の組み合わせ抽選会が23日、さいたま市民会館おおみやで行われ、女子ソフトボールで全国制覇15度の名将、渡辺努監督(50)が率いるAシードの川越東の初戦は7月10日の川越戦に決まった。秋、春ともに決勝で浦和学院に負けており、左腕エース高橋佑樹投手(3年)を中心に、宿敵への雪辱と春夏通じて初の甲子園出場を目指す。茨城大会の組み合わせ抽選も水戸市内で行われた。
ほしいのは優勝だ。川越東のエース高橋は、東京神宮シニアでプレーしていた三室中時代にU-15日本代表の投手兼一塁手としてアジアチャレンジマッチで優勝したものの、ジャイアンツカップは準優勝。川越東でも、ベンチ入りした1年夏に埼玉大会決勝で浦和学院に完敗し昨秋、今春の県大会、関東大会はいずれも浦和学院に負け、準優勝ばかり。「“銀メダル”はもういい。優勝したい」と誓う。
最速135キロ前後ながら、縦のスライダーとの制球力で打ち取るのが持ち味。夏本番に向けて、低めへのコントロールの精度に磨きをかける。浦和学院は宿敵だが、ともにAシードで決勝まで当たらない。渡辺監督は「まわりが言うほど、浦和学院を意識しているわけではない。強いチームはたくさんある。勝ち上がらないとそこへいけない」と強調。高橋も「決勝で負けても、1回戦で負けても、甲子園に出られないのなら同じ」と力を込める。
チーム力も上がってきた。高橋は春の公式戦の先発は1試合だけで、代わりに投げたのがサイド右腕の磯川雄太投手(3年)。関東大会決勝の浦和学院戦は4失点したが7イニングで自責はゼロ。「夏は総合力。春は、夏から逆算してチームづくりをした。投走攻守のバランスが、だいぶ取れてきた」と渡辺監督。浦和学院との決勝まで勝ち上がっていくために、磯川がいい経験を積んだのは大きな収穫。打線も得点能力が高まった。
一昨年の決勝、浦和学院に1-16で完敗したときスタンドで応援していた大南和優主将(3年)は「ほかのどこのチームよりも浦和学院にリベンジしたい思いは強い。浦和学院に勝って甲子園にいきたい」と力強く言った。秋、春の決勝は甲子園にはつながらない前哨戦に過ぎなかった。本番は甲子園をかけた夏。重圧がかかる中で勝ってこそ、先輩たちの借りを返したことになる。
(中日スポーツ)